Last update:2025,DEC,27

第二次世界大戦

詳細篇 中立のポルトガル

small5
「今回は「第二次世界大戦」の詳細篇ということで、第二次世界大戦中、中立を保ち続けたポルトガルの歴史を見ていくぜ!」

big5
「詳細篇の聞き役はいつもどおり私・big5です。今日もよろしくお願いします。
第二次世界大戦は本当に多くの国が戦争に加わることになりましたが、ヨーロッパの西の端に位置するポルトガルは、隣国のスペインと共に中立を保ち続けました。これは、ポルトガルの独裁者となったサラザールの政治運営の結果です。今日は、この時代のポルトガルについて見ていきましょう。」

年月 ポルトガルのイベント その他のイベント
1929年 世界恐慌
1932年 サラザール首相就任
1933年 サラザールが新憲法を公布し「新国家(エスタド・ノヴォ)」体制を確立
1939年 9月1日 ドイツがポーランドに侵攻 第二次世界大戦 開戦
1940年 世界博覧会を開催 6月 ドイツがパリを攻略 フランス降伏
9月 日独伊三国同盟成立
1941年 6月 独ソ戦 開戦
12月 日本が真珠湾を攻撃 太平洋戦争 開戦
1942年 6月 ミッドウェー海戦で日本がアメリカに敗北
8月 ドイツ軍がスターリングラード攻撃開始
   アメリカでマンハッタン計画(原爆製造計画)始まる
1943年 9月 イタリア降伏かつドイツに宣戦布告
1945年 5月 ドイツ降伏
8月 アメリカが広島、長崎に原爆投下
9月 日本降伏 第二次世界大戦 終結

新国家(エスタド・ノヴォ)

small5
「さて、1932年に首相に就任したサラザールだが、彼は首相だけではなく財務相、陸軍相、外務相も兼任しており、ほとんどすべての事項はサラザールの承認なしでは進められないという、独裁体制国家だったんだ。」
big5
「その一方で、これまでの軍事政権とは異なり、昔ながらのキリスト教価値観に基づく社会の実現に力を置きました。「神・祖国・家族」の概念が国民教育の基本となりました。具体的に言うと、父は外で働き母は家庭を守る。貧しくても誠実で秩序を重んじ、信仰に篤く教会に敬意を払う、というものです。」
small5
「これを見ると、サラザールは本質的には保守主義者だった、と言えるよな。教皇ピウス11世(在位:1922〜39)が発した労働者と資本家の階級協調理念を受容し、共産主義のような、労働者らが革命を起こして資本家を倒す、という思想は完全に否定的だったしな。この頃のサラザールの政治方針は保守・権威主義といったところだ。支持基盤は軍、教会、資本家、地方の有力者だ。」
big5
「サラザールは労働者に対して、民間の労働組合ではなく国家が作った労働組合(シンジカート)に所属し、資本家も同様に国家が作った組合である雇用者組合(グレミオ)に所属し、互いに争うのではなく国が調整役となって協調するように指導しています。そのため、労使間の揉め事や労働者のストライキなどは認められない代わりに、政府が介入して調整する、という珍しい体制を築いています。その代わり、新聞や雑誌は検閲されますし、秘密警察も導入されて反政府的な活動は徹底的に取り締まりました。」

第二次世界大戦

small5
「そんなわけで、サラザール独裁のもとで独自の道を歩むことになったポルトガルは、第二次世界大戦でも中立を保ったんだ。当初は、同じ独裁体制ということで、イタリアのムッソリーニやドイツのヒトラーとは友好関係でしたが、深入りはしていない。また、戦略物資であるタングステンについては、枢軸国にも連合国にも輸出していた。戦争特需により、経済も安定していたんだ。」
big5
「1940年に開催された世界博覧会は、戦時中にも関わらず平和だったポルトガルの象徴ですね。そして、戦況が連合国優勢となってくると、サラザールは中立ではあるものの連合国寄りの立場を取り、アソレス諸島のラージェス基地をアメリカ軍をはじめとした連合国軍の中継基地として供与しました。これらの結果、大戦終結後もポルトガルはサラザール独裁体制を維持することに成功しました。スペインも同様にフランコ独裁が続くことになっていますね。」
small5
「うまいこと両陣営の間を泳ぎ切った、というところだな。狙ってこうしたのだとしたら、かなりの政治力だと思うぜ。」
big5
「といったところで、今回の話はここまで。続きは次章で扱うことにします。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。」



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参考文献・Web site
・図説ポルトガルの歴史 著:金七紀男 発行:河出書房新社 2011年5月20日初版印刷
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