問1(通し番号:19)
空所にあてはまる用語の選択問題。まずアに入るスペイン王は、フェリペ2世になります。解答のカギとなるのいくつかありますが、導入文最後の「イが、1588年に無敵艦隊を破った」というのが、多くの受験生のヒントになるのではないかと思います。フェリペ2世はスペイン全盛期の王でしたが、治世後半ではイギリスのエリザベス1世との戦いで、自慢の無敵艦隊が大敗北するという、その後のスペイン没落を暗示するような事件が起きています。
その他の解答のカギとしては
・カトー=カンブレジの和約締結(イタリア戦争終結)
・地中海域の海戦でオスマン帝国に勝利(レパントの海戦)
・ポルトガル王位継承(フェリペ2世はポルトガル王家直系が断絶したのを機会に、ポルトガル王を兼ねた)
・圧政を行ったネーデルラントで反乱が起きた(オランダ独立戦争開戦)
などがあります。いずれもフェリペ2世の時代の話です。
続いて、空欄イに入る国がイギリスかスウェーデンか、については、上記のように無敵艦隊を破ったのはイギリスです。以上より、Bが正解となります。
問2(通し番号:20)
スペイン内戦に関する正誤判定の問題です。まずaの「フランスは不干渉政策を採った」は、そのとおりです。bの「人民戦線側には、他国からの義勇兵が参加した」も正しいので、正解は@となります。
スペイン内戦は、第二次大戦勃発の前に起きた、イタリア・ドイツのファシズムの台頭を象徴する事件でした。左翼のスペイン人民戦線政府に対し、ファシストのフランコ将軍が反乱を起こし、フランコ将軍をイタリアとドイツが支援する一方で、イギリスやフランスは不干渉を決め込んだために、フランコ側の勝利となりました。なお、敗れた人民戦線政府側には、ファシストの台頭を危惧する外国の義勇兵が援軍として参加していますが、ドイツの最新兵器の力などもあったため力及ばず、敗北を喫しています。
問3(通し番号:21)
カトー=カンブレジ条約に関連して、とありますが、解答のポイントは各選択肢の正誤判定にあります。@のカストロは、アメリカではなくキューバ革命の指導者なので誤り。Bのアイゼンハウアーは、ドイツではなくアメリカの大統領です。アイゼンハウアーは第2次大戦で活躍した将軍で、戦後アメリカの大統領となりました。Cのマッキンリーは、アメリカの大統領であることは正しいのですが、「棍棒外交」が違います。「棍棒外交」を進めたのはマッキンリーではなく、セオドア・ローズベルトなので誤り。以上より、Aが正解となります。
なお、この頃のアメリカの外交政策を表現する言葉をまとめると、以下のようになります。
棍棒外交 |
セオドア=ローズベルト大統領が進めた外交政策。(「棍棒外交」という名前からでは、内容を推測することは難しいです。)アメリカが、南北アメリカ大陸世界におけるリーダーとなるべく、ラテン・アメリカ諸国に積極的に介入する政策。具体例として、パナマ地方を領有していたコロンビアからパナマ共和国として強制的に独立させ、そのパナマ共和国から権利を得て、パナマ運河を建築したことがあげられます。「カリブ海政策」ということもあります。 |
善隣外交 |
フランクリン=ローズベルトが世界恐慌への対策として展開した、ラテン・アメリカ諸国に対して高圧的な「棍棒外交」ではなく、友好的な外交政策。具体例として、キューバに対するプラット条項を排除したことがあげられます。 |