センター試験 世界史B 2014年

第2問

問1(通し番号:10)
モンゴル帝国の指導者に関して、正しい組み合わせを選ぶ問題です。判断のポイントは2つです。最初のポイントは、モンゴル帝国における後継者選出会議は「クリルタイ」と言います。完全な歴史用語です。ちなみに、もう一方の選択肢「三部会」とは、革命前のフランスでたびたび開催された三階層の身分の代表者で構成した議会です。次のポイントは、第5代のモンゴル帝国の君主は誰かという点で、答えはフビライ(クビライ)です。日本に攻め込んできた元寇の時のモンゴル君主であり、「元」という国を開いた開祖でもあるので、第一級の重要人物です。なお、もう一方の選択肢のヌルハチは、清の開祖でこちらも重要人物です。したがって、正しい組み合わせは@となります。

問2(通し番号:11)
漢人社会について、ということで、正しい説明を選ぶ問題です。これはかなり難しかったと思います。消去法で考えていくと、@とAは判断が難しかったと思います。Aの南北朝時代とは、華北で異民族による北魏が成立してから、隋によって再び中国が統一されるまでの時代になります。この時代、華北は異民族が支配しており、異民族から逃げ延びた漢民族の晋(東晋という)王朝が存続していたため、多くの漢民族が江南地方に移住したそうです。したがって、Aは正しくこれが正解になります。
Bの「佃戸(でんこ)」とは、説明文のとおり小作人のことです。佃戸は第2次大戦後の農地改革まで続いていたので、宋の時代に消滅してはいません。従ってBは誤りです。Cの「清代に華僑が流入した」とありますが、この文章自体が不自然です。華僑とは、中国国外で生活している中国人のことなので、「華僑が流入した」というよりも「華僑が流出した」という方が自然な表現です。なお、明と清の後半くらいまで時代、江戸時代の日本のように、鎖国政策が採られましたので、国外に出ていく中国人は密航者くらいに限られており、外国から中国に帰ってくることは許されませんでした。したがってCは誤りです。

問3(通し番号:12)
有力者層に関する説明の正誤判定問題です。まずaの「イタリアではユンカーと呼ばれる・・・」とありますが、「ユンカー=ドイツの地主貴族」なので、誤りです。ユンカーの代表的な人物が、鉄血宰相ビスマルクなので、「ビスマルク=ユンカー」と覚えておくといいと思います。
続いてbの「明代に、九品官人法(九品中正)の下で・・・」。キーワードは「九品官人法(九品中正)」です。これは、三国時代の魏で始まった官吏登用方法です。明の時代ではありませんので誤りです。三国志が好きな人は、魏の曹丕(文帝)の時代に採用されたこと、提案者は陳群であることも知っておくと、応用が効くと思います。なお、九品官人法の概要は、各地方に「中正」と呼ばれる役人を設置し、中正は各地の官吏志望者を9段階で格付けして中央政府に報告し、中央政府がその中から採用する、という仕組みでした。

問4(通し番号:13)
導入文を読んで、空所アとイに当てはまる語を選ぶ問題です。まずアは「(インドで広まった制度で)4つの身分から成る。」身分制度をヴァルナ制度と言います。一般的には「カースト制度」の方がはるかに有名ですが、カースト制度はヴァルナ制度を基にした、より細かい身分制度です。ヴァルナ制度は、バラモン(僧侶)、クシャトリヤ(王族、武士)、ヴァイシャ(平民)、シュードラ(奴隷)の4つの大枠で構成されている制度です。ハズレの「ジャーティ」は、4身分のヴァルナとは異なり、「生まれ」などを意味する言葉です。カーストと同義で使われることもありますが、ヴァルナとは別物とされています。やや難しいですね。
続くイは「王侯・戦士身分」なので「クシャトリヤ」となります。従って、正解はCです。

問5(通し番号:14)
aとbの文章の正誤判定問題です。まずaの「東フランクではカロリング朝の血統が断絶すると、王は諸侯の選挙で選ばれるようになった。」。考え方のポイントは、東フランクは後に神聖ローマ帝国となる、という点です(ちなみに、西フランクはフランスになります)。東フランクで始まった「王を選挙で選ぶ」という制度は、神聖ローマ帝国になっても継承され、やがて諸侯の中でも特に「選帝侯」の中から選ばれるようになりました。従ってaは正しいです。
続いてb「神聖ローマ皇帝は、15世紀以降、ホーエンツォレルン家から選出されるようになった。」。神聖ローマ皇帝を独占するようになったのは、ハプスブルク家なので、ホーエンツォレルン家ではありません。ホーエンツォレルン家は、プロイセンの王家です。従ってbは誤りとなります。
以上より、正しい組み合わせはAです。

問6(通し番号:15)
グプタ朝時代の文化として誤っているものを選ぶ問題。この手の問題は、単純に知っているかいないかが正誤を分けることになります。グプタ朝は、320年〜550年頃に北インドで栄えた王朝で、いわゆる「古代インド」の文化が発展した時期になります。代表的なものとして、@アジャンタ石窟寺院の壁画、Aインド古典叙事詩の『ラーマーヤナ』の編纂、Cインド文学の最高傑作と評される古典戯曲『シャクンタラー』、があります。
Bのウパニシャッド哲学は、いつ頃できたかははっきりしないのですが、前500年頃と考えられているため、少なくともグプタ朝時代の産物ではありません。したがって、Bが正解となります。

問7(通し番号:16)
アメリカ奴隷制に関する用語補充の問題。まず、アに入るのは『アンクル=トムの小屋』の作者であるストウ夫人です。ヘミングウェーはアメリカの代表的な作家ですが、彼が活躍したのは20世紀に入ってからなので誤りです。続いてイに入るのは、奴隷解放宣言を行ったリンカンです。ラ=ファイエットはフランス革命で活躍した自由主義派の貴族です。アメリカの奴隷解放宣言とは、時代も国も異なっています。
以上より、正しい選択肢は@となります。

問8(通し番号:17)
アメリカの労働者の歴史、というややマイナーなテーマなので、知らなかった受験生も多かった問題だと思います。まずaのワグナー法は、ニューディール政策の一環として1935年に規定された労働者の権利を守る法律です。団結権や団体交渉権などが規定されましたので、aは正です。
bのアメリカ労働総同盟は、結成されたのが1886年なので、20世紀ではありません。よって誤となります。
以上より、正しい選択肢はAとなります。

問9(通し番号:18)
アメリカで女性参政権が認められた時期を選ぶ問題です。この問題は、知識がないと解くのは難しいでしょう。
アメリカでは、州によって法律が少しずつ異なるので(例えば運転免許を取れる年齢が、州によって違う)、女性参政権も、一部の州は第一次世界大戦前から認められていましたが、合衆国全体として認められたのは第一次大戦が終わった直後の1920年でした。
よって、正解はAのbです。

※この解説は、管理人の趣味で作成しております。下の広告をクリックして応援してくれると嬉しいです。

2014年 第1問
2014年 第3問
2014年 第4問 A
2014年 第4問 B
2014年 第4問 C
センター試験 世界史Bを解く 目次へ戻る

トップページへ戻る


マクロミルへ登録   ライフメディアへ登録